- 骨盤が歪むから腰や脚の付け根が痛くなる。
- お尻の痛み(坐骨神経痛)は骨盤が歪んだからだ。
- 骨盤が開くから産後、パンツが入りにくくなった。
- 産後は必ず骨盤ベルトをしないと、開いたままの骨盤が元に戻らない。
- 産後は骨盤が開いたままだから、1日も早く骨盤矯正をしなければならない。
- 骨盤がずれたから脚が太くなる。
巷には、まるであらゆる不調の原因が骨盤の歪みや開きにあるかのような情報が溢れ、枚挙にいとまがありません。
しかし、本当にそうなのでしょうか? 全ての痛み、違和感、そして何となく感じる不定愁訴まで、その原因は本当に骨盤の歪みなのでしょうか?
そもそも、人間の骨盤は本当に歪むものなのでしょうか? そして、産後の骨盤は本当に開いたまま元に戻らないのでしょうか? 整体師は、本当に「骨盤矯正」などという施術ができるのでしょうか?
目次
本当に骨盤は歪むのか?開くのか?
結論から申し上げます。
歪むのか?

いいえ、骨盤そのものは、日常生活における些細な動作で大きく「歪む」ことはありません。
インターネット上で、このように骨盤がまるで大きくズレているかのような図を見かけることがあります。しかし、そのような状態は、交通事故などの非常に大きな外力が加わった場合にのみ起こりうるもので、その際は即座に救急車で病院へ搬送され、手術が必要となるほどの重傷です。
開くのか?

妊娠中、出産時には、赤ちゃんが産道を通りやすくするために、骨盤の一部である恥骨結合がわずかに緩みます。 これは、出産という一大イベントに必要な自然な体の変化です。
もし骨盤が大きく「開く」のであれば、骨盤の後ろにある仙腸関節が大きく動くはずですが、この関節の可動域はわずか2〜5mm程度と言われています。
「産後、骨盤が開いたまま」という表現は、「恥骨結合離開」という非常に重篤な症状を指す場合があります。この場合、歩行も困難になるほどの激しい痛みを伴うので専門医や妊娠中であればペインクリニックを受診する必要があります。
したがって、「産後、骨盤が開いたままだからすぐに骨盤ベルトを巻かなければならない」「整体院で早急に骨盤矯正をしなければならない」といった情報に惑わされる必要はありません。
「骨盤矯正」ってできるの?
仮に骨盤の関節がわずかに動いたとしても、私たち整体師やカイロプラクターが、バキバキと音を立てて骨を大きく動かし、「矯正」することは、解剖学的に考えても不可能です。私たちは神様ではありませんから。
ついでに言えば、「小顔矯正」と謳う施術も同様のことが言えます。骨格そのものを大きく変えることはできないのです。
骨盤の歪みに関する誤った情報にご注意ください
残念ながら、骨盤の歪みをあたかも万病の根源のように説明し、不安を煽って通院を促す整体院やサロンが数多く存在します。
1.「骨盤が斜めになっている」という説明
インターネット上では、骨盤が極端に傾いている図をよく見かけます。これについて、当院の考え方をご説明します。

そもそも、人間の体は骨だけでなく、その周りに無数の筋肉や関節が存在し、それらが複雑に連携して動いています。実際に動いているのは、骨盤そのものではなく、背骨、股関節、そしてそれらを支える筋肉なのです。
もしこれらの動きが制限されると、階段を上ることが困難になったり、不意につまずいた際に体勢を立て直すことができなくなったりします。
もちろん、日常生活の中で、図のような姿勢をとる方もいらっしゃいます。このような状態は、大きく分けて以下の2つに分類できます。
痛みを伴う場合
ぎっくり腰のような激しい腰痛や、腰からお尻、足にかけての痛み(一般的に坐骨神経痛と呼ばれることが多いですが)によって、特定の姿勢でしか歩けなくなることがあります。これは**「トレンデレンブルグ跛行」**と呼ばれ、骨盤がどちらかに偏った状態でないと歩行が困難になる状態です。
このような強い痛みをお持ちの方の場合、一度の施術で完全に楽になることは難しいかもしれませんが、当院の施術と丁寧なケアによって、必ず症状は改善し、体のバランスも整っていきます。 どうかご心配なさらず、お早めにご相談ください。
痛みを伴わない場合
側弯症の場合: 詳細は側弯症のページ(現在工事中)をご覧ください。成長期以降の側弯症で、コリや痛みを感じる方は、筋肉を緩め、可能な範囲で関節を動かすことで症状が軽減することが期待できます。ご安心ください。
側弯症ではない場合: この場合、骨盤そのものではなく、体全体の筋肉が部分的に硬直している状態と考えられます。全身の筋肉や関節の柔軟性を取り戻し、正しい姿勢や歩き方を練習することで、改善が見込めます。ぜひ一度ご相談ください。
2、「骨盤が前傾している」という説明

このような状態を「骨盤の歪み」と説明するケースも見られますが、これも骨盤そのものが大きく動いたり、歪んだりしているわけではありません。
多くの場合、体全体の重心が後ろに傾き、それを補おうとして腰が反っている状態です。特に産後によく見られる姿勢の一つです。
病的な円背(骨粗しょう症による脊椎の変形や圧迫骨折など)を除けば、このような姿勢は適切な施術とトレーニングによって改善が見込めます。当院では、丁寧な施術に加えて、正しい姿勢のトレーニングや体幹のトレーニングも行い、根本的な改善を目指します。ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ(当院では、、、)
これまでの話を要約いたします。
骨盤そのものは、日常生活で大きく歪むことはありません。
出産時に恥骨結合はわずかに緩みますが、骨盤全体が大きく開くわけではありません。
骨盤そのものは大きく動きませんが、全身の筋肉の過度な収縮や硬直によって、骨盤が傾いて見えたり、反り腰のような姿勢になることはあります。
当院では、皆様のお悩みの原因を安易に「骨盤の歪み」のせいには致しません。また、「姿勢が悪いから」と一方的に姿勢のせいにすることもありません。
そのため、骨盤ベルトなどの矯正器具の販売や、骨盤矯正という特別なコースは設けておりません。
なぜなら、皆様一人ひとりお体の状態は異なり、生活環境や現在の心の状態もそれぞれ違うからです。
痛みにお悩みの方には痛みの改善を、体のバランスが気になる方にはバランスの改善を、それぞれの状態に合わせて施術を行います。
当院では、「〇〇式骨盤矯正コース」のような画一的なメニューはご用意しておりません。 私が皆様のお悩みに真摯に向き合い、お話を伺いながら、その時々の状態に合わせて臨機応変に施術内容を変化させ、少しでも楽になっていただけるよう、二人三脚で進んでいきたいと考えております。
・痛みや違和感、だるさがあり、体全体が歪んでいる方の改善
・構築性側彎症以外の方の体のバランス改善
・構築性側彎症の方の痛みや違和感の緩和
・産後ケア全般(産後の様々な不調に対応いたします)
当院の施術を受けていただければ、**「今まで受けてきた整体とは何か違う…」**と感じていただけると信じています。(もちろん、一度の施術で全てが解決するわけではありません。)
いつでもお気軽にご相談ください。
産後の方へ、特にご注意いただきたいこと!
産後の産褥期(さんじょくき:出産を終えた女性の身体が、ほぼ妊娠前の状態まで回復する大切な期間)は、子宮をはじめとする様々な器官が回復していく非常にデリケートな時期です。この期間に、予期せぬ不正出血(晩期産褥出血)や子宮の回復遅延(子宮復古不全)などが起こる可能性があります。
まずは、妊娠から出産、そして新しい命の誕生という、目まぐるしく変化した1年間をゆっくりと振り返り、ご自身の体の回復を最優先に考えてください。
「産後2ヶ月以内に骨盤矯正をしなければならない」といった情報に惑わされず、新しい生活に慣れてから、落ち着いてご来院いただければ幸いです。
新丸子駅徒歩3分、武蔵小杉駅徒歩10分
