【肘の痛み】放置しないで!よくある原因と自分でできる対策を解説
「肘が痛い」「肘を曲げるとズキッとくる」…肘の痛みは、日常生活のちょっとした動作にも支障をきたし、不快なものですよね。
ここでは肘の痛みの主な原因と、ご自宅でできる対策について詳しく解説します。
目次
肘の痛みの主な原因とは?
肘の痛みは、その場所や動かし方によって様々な原因が考えられます。特に多いのは以下の3つです。
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

肘の外側が痛む場合、最も疑われるのが「テニス肘」です。テニスをする人に多いことからこの名前がついていますが、実はスポーツをしない方でも発症します。
原因
手首を反らす動作や指を伸ばす動作を繰り返すことで、肘の外側にある腱に負担がかかり、炎症を起こすことが原因です。
主な症状
- 物をつかんで持ち上げる時
- タオルを絞る時
- PC作業でマウスを操作する時
- ドアノブを回す時
- フライパンを持つ時
など、手首を反らす・指を伸ばす動作で肘の外側に痛みが生じます。
ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)

肘の内側が痛む場合は、「ゴルフ肘」が考えられます。こちらもゴルフをする人に限らず発症します。
原因
手首を掌側に曲げる動作や、指を握り込む動作を繰り返すことで、肘の内側にある腱に負担がかかり、炎症を起こすことが原因です。
主な症状
- 物を強く握る時
- ゴルフのスイングをする時
- 重いものを持つ時
など、手首を曲げる・指を握り込む動作で肘の内側に痛みが生じます。
野球肘

成長期のお子さんに多く見られるのが「野球肘」です。投球動作を繰り返すことで、肘に過度な負担がかかり、様々な障害を引き起こします。
原因
未発達な骨や軟骨に投球動作によるストレスが繰り返し加わることで、炎症や損傷が起こります。
主な症状
- 投球時に肘が痛む
- 肘が完全に伸びない・曲がらない
- 肘のロッキング(引っかかり)感
など、肘の可動域制限や痛みが特徴です。
その他、関節炎や神経の圧迫など、様々な原因が考えられます。
テニスもゴルフも野球もやったことがない肘の痛み
テニス、ゴルフ、野球をやったことがないのに病院で「テニス肘」「ゴルフ肘」「野球肘」と診断されたことがあるあなた。
当院にいらっしゃるほとんどの方がここに該当する方です。
原因
肘が痛いから肘周辺だけが異常が起きているとは限りません。
- 肩こりや首こりがきつい
- 肩をすくめる癖(肩の力が抜けにくい)
- 緊張状態に長時間いる
- 食いしばりが強い
- 巻き肩になりやすい
- 赤ちゃんの抱っこ(特に初産の後)が多い
- 力が抜けにくい(気がついたら息を止めていた) など
主な症状
- 自転車に乗るとき
- 洗濯物をつかんで持ち上げるとき
- マグカップを持ち上げるとき
- 文字を書くとき
- 赤ちゃんを抱っこするとき
- 大根を桂むきするとき
- 肩こりや首のコリ、痛みがよくある
このような症状の方はこれまで説明したテニス肘、ゴルフ肘、野球肘と違い、日常生活が原因の痛みです。ほとんどの方に共通しておりますが、肩から首、背中、上腕から前腕がガチガチに硬直して、力が抜けにくい方が多く見受けられます。
肘の痛みに自分でできる対策
肘の痛みを感じたら、まずはご自宅で以下の対策を試してみてください。
1. 安静にする
痛みがかなりひどい時は、痛みの原因となっている動作を控え、肘を安静にすることです。無理に使い続けると、症状が悪化する可能性があります。
2. 冷やす・温める
- 急性期(ズキズキとした痛みや熱感がある場合): 炎症を抑えるために、アイシングが効果的です。15~20分程度、保冷剤や氷嚢で冷やしましょう。
- 慢性期(だるい痛みやこわばりがある場合): 血行促進のために、温めるのが良いでしょう。蒸しタオルや入浴で患部を温めてみてください。
3. ストレッチ・マッサージ
肘周りの筋肉の柔軟性を高めることで、負担を軽減できる場合があります。
テニス肘(肘の外側が痛い)の場合(手首を曲げる筋肉のストレッチ)
手のひらを下に向け、少し肘を曲げる。
もう片方の手で指先を下方向に優しく引っ張り、手首をしっかり曲げる。
前腕の外側に伸びを感じるところで20~30秒キープ。これを数回繰り返す。

ゴルフ肘(肘の内側が痛い)の場合(手首を反らす筋肉のストレッチ)

手のひらを上に向けて腕を前に伸ばします。
反対の手で指先を掴み、手のひらを下方向に押し下げます。
肘を内側にひねると、さらに効果的です。
各20~30秒、数回繰り返します。
※いずれも痛みのない範囲で行いましょう。
4. 日常生活の見直し
痛みの原因が日常生活の動作にあることも少なくありません。
PC作業: マウスやキーボードの位置を見直し、肘や手首が力まない座り方を心がけましょう。肩がすくむくらいの高さにマウスやキーボードがあるとそれだけでも、肩から首、腕の力が抜けにくいので、椅子の高さも同時に調整する。
また作業中に
- 過度に肩や首、腕に力が入っていないか?
- キーボードを打つときに激しくタイピングする癖がないか?
- マウスを力一杯握りしめていないか?
- 肩をすくめ、呼吸を止めて作業をしていないか?
などもチェックし、しっかり呼吸(息を吐くことを中心に)をして力を抜いてください。
家事: タオル絞りや重いものを持つ際に、肘に負担がかからないような工夫(両手を使う、道具を活用する、力みすぎない、など)をしてみましょう。
スポーツ: フォームの見直しや、適切な用具の使用も重要です。
医療機関を受けるべき肘の痛み
以下のような症状がある場合は、自己判断せずに整形外科を受診しましょう。
早期に診断を受け、適切な治療を行うことが、症状の悪化を防ぎ、早期回復につながります。
まとめ、当院では
肘の痛みについて、いろんな説明を行いましたが、首、肩から背中、上腕から前腕の硬直が原因による痛みがほとんどです。
当院ではまずどんなときに肘が痛いか細かくお聞きします。
その後、前腕を中心に肩、首、肩甲骨の細かい動きをチェックし、上半身を中心にして硬直した筋肉を柔らかくし、肘周辺のみならず、動きにくくなった上半身の関節を動かしやすくします。
一回で全ての痛みがなくなるのは難しいので、徐々に上半身の関節の動きを正常に戻しながら、肘の痛みを取り除いていきます。
ただ当院の施術のみならず、ご自宅でもエクササイズや生活上で気を付けていただくことを申し上げますので、それも実行していただきます。
症例報告(Kさん 40代主婦)

主訴
肘の内側の痛み。病院ではゴルフ肘と言われたが、ゴルフはやったことがない。
- 冷蔵庫の中のペットボトルを取るとき
- ボウリングの球を持ち上げられない
- ホワイトソースを練るとき
- フライパンを握る時と振り上げるとき
- ゴミ袋の袋を縛るとき
- 買い物でカートにカゴを乗せるとき
- お皿を持ち上げるとき
- スポンジを絞るとき
- ピアノを弾く時
- 洗濯機から洗濯物を取り出すとき
検査
前腕のみならず、手首の硬さ、上腕から肩部、頸部、肩甲骨までの硬直がひどく、肩は極端に内側に巻いており(巻き肩)首もいわゆるストレートネック状態で硬直している。
経過
1回目:肩を中心に上半身全体の硬直を少しずつリリースし、可動域を回復。その後、前腕を中心に細かい動き(手首を回す、曲げる、反らす、肘を伸ばす、曲げるなど)の可動域を少しずつ回復させる。
2回目:フライパンを握る時と、スポンジを絞るときの動作以外は全て消失。前回同様、上半身全体をリリースし、上腕から前腕、手首の動きを更に動きやすくした。
3回目:洗濯物を取り出すときの痛み以外は全て消失。
4回目:肘の痛みはほぼなくなった。
元々肩こりのきつい方なので、現在は2週間から1ヶ月に一度、全身のメンテナンスでご来院。
新丸子駅徒歩3分、武蔵小杉駅徒歩10分
